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提言:図書館協議会から図書館委員会へ(住民自治による公共図書館ガバナンス)

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大それたことを言うつもりはないのだが、今日山中湖情報創造館にリサーチに来た大学生たちと話をしているうちに、やはり日本の公共図書館(という公の施設)に対するガバナンスのスタイルをしっかりと考えるべきなんじゃないか…という話題になったものだから、その勢いもあって書いちゃいます。

◯図書館協議会は、何の権限も責任も無い。
 正直なところ、そんな[諮問機関]にどういう意味があるのか、僕には理解できません。ましてやそれが『図書館法』という法律に明記されてしまっている以上、存在を否定する事も、またそれに変わる組織を設置することもなかなか難しいわけで、館長の諮問に答えたり、館長に意見を述べることはできたとしても、それを館長が活用しようが活用しまいが裁量は館長にあるわけですね。
 そんなわけで、諮問機関には何の権限も責任も無い訳で、これをもって住民自治があるとは言えない…と思う訳です。

◯それに比べて「図書館委員会」とは
 以前このブログにも書いた僕の記事をご覧下さいませ。
 図書館理事会/図書館委員会
 柏書房さんの「最新図書館用語大辞典」による説明が的を得ていますが、図書館委員会はその人気期間中において、権限と義務と責任を持ちます。
 (1)有能で的確な図書館長を採用する,
 (2)図書館の運営と計画に関する成文化された政策・方針を決定し採択する,
 (3)図書館の目標を決定し,図書館の計画を遂行するために,充分な資金を獲得する,
 (4)地域社会との関連において図書館の計画と図書館に対する要求を知り,諸基準と図書館の動向にたち遅れないようにする,
 (5)立案されたPR計画を決定し,支持し,実際に参画する,
 とあるように、住民から選出されたメンバーが、その図書館のコントロールを行なうことができるのが、この「図書館委員会」なのです。

 僕自身が指定管理者図書館長として仕事をしている中で、いつも感じることは、「公共図書館における最高意思決定機関」とはどこだろうか…と。少なくとも館長の諮問機関では最高意思決定期間になるはずもなく、上記にあるように図書館協議会は「館長を採用する」ことすらできない。これでは正直なところ、公共図書館に対する住民自治などは夢のまた夢…でしかありません。

 戦後の混乱期ならいざ知らず、戦後60余年民主主義による社会を作って来たこの国において、地域の公共施設に対する住民による自治がまったくもって出来ていないことに対して、なぜ放置してきてしまったのか…と、思っています。
 これは図書館側にも問題はあるし、図書館協議会側(特にその全国組織側)にも、改善する働きかけをして来なかったという問題もある。

 公共図書館が、直営から業務委託、指定管理者という流れのなかにあり、今後「新しい公共」による公共図書館運営が視野に入って来ている時代。であればあるほど、住民自治による「図書館委員会」による公共図書館のガバナンスという仕組みづくりに、図書館界も地域の教育委員会も地域住民側も取り組むべきなのでは…ないでしょうか。

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