カレントアウェアネスによると
・出版流通対策協議会がGoogleブック検索和解案への反対を発表 カレントアウェアネス
ここにあることをよく読んでみると…実は Google 対 著者/出版社の構図ではないんじゃないか…と、思う。対立の構図はむしろ、[図書館]対[著者/出版社]であって、Googleは技術力や資金力があるにしても[図書館側]の代理になっているんじゃないか…そう思えてくる。
上記のカレントアウェアネスの記事中にもある
Googleブック検索のパートナーとなっている慶應義塾図書館に対しても質問状を送付している
この文を読んで、強くそう思えてくる。
Gooeleブック検索って、実は[図書館がやりたかったけど、技術的にも資金的にもできなかったこと]をGoogle社が挑戦していることなんだと。図書館はこれまで目録カードやMARCでかろうじて検索可能にはしてきたけれど、本音を言えば[全文検索]したいんですよ。そのためのプロセスとして[デジタル化]があって、[OCR]などの光学認証技術があってるだけで、それは単に手段にしかすぎない。
Googleブック検索では、Google社と図書館との利害が一致したからこそ
・ハーバード付属図書館(ハーバード大学)
・スタンフォード大学付属図書館(スタンフォード大学)
・ボドリアン図書館(オックスフォード大学)
・ゲント大学付属図書館(ゲント大学)
・プリンストン大学付属図書館(プリンストン大学)
・カリフォルニア大学付属図書館(カリフォルニア大学)
・マドリッド コンプルテンセ大学図書館(マドリッド コンプルテンセ大学)
・ローザンヌ大学図書館(ローザンヌ大学)
・ミシガン大学付属図書館(ミシガン大学)
・テキサス大学オースティン校図書館(テキサス大学)
・バージニア大学付属図書館(バージニア大学)
・ウィスコンシン大学マディソン校付属図書館(ウィスコンシン大学)
・カタロニア国立図書館(スペイン)
・バイエルン州立図書館(バイエルン州)
・ニューヨーク公共図書館(私立)
そして
・慶應義塾図書館(慶應義塾大学)
(Wikipediaより引用 http://ja.wikipedia.org/wiki/Google_ブック検索 )
が参加したのだ。著作権者/出版社はGoogle社というよりも、そこに参加している図書館とも対峙する関係になってはいないだろうか…と、思うのです。
図書館的には、抜粋されたMARCデータだけでなく、全文で検索できた方がいいに決まってます。
残念ながら、ほとんどの出版社はその要求に応えてくれません。
ワープロで原稿が作られ、デジタルカメラで写真が取られ、DTPでレイアウト処理されている昨今、全文検索できない方がむしろ不自然なくらいです。
もし、すべての出版社が単純に[全文検索]できるようにしてくれれば、何もGoogle社に頼る必要はないのですが、過去の出版物、紙媒体でしか存在しない出版物を検索可能にするには、とてつもなくお金がかかるのです。それをGoogle社は自前でやろうとし、さらに権利者に対して対価を支払おうとも考えています。
ぼくはGoogle社の肩を持つ訳ではありませんが、図書館として書籍の全文が検索できることはひとつの理想的な図書の検索方法だと思います。それを現状の著作権者や出版社が提供してくれないのであれば、その技術と資金をもっている企業に頼ることをどうして非難できるのでしょうか。
もう一度書きます。
ことの本質は、
[著作権者/出版社]対[Google社]という対立の構図ではないのです。
[図書館の理想(実現してくれるGoogle社の技術/資金)]対 [著作権者/出版社]の構図なのだと考えています。
与えよ、さらば与えられんという言葉は、インターネット上における知識・情報共有の大原則になっていると、強く強く感じています。
平日は山中湖村の森の中にある図書館 山中湖情報創造館に、週末は清里高原の廃校になった小学校を活用したコワーキングスペースもある 八ヶ岳コモンズにいます。「わたしをかなえる居場所づくり」をイメージしながら、テレワークに加えて動画撮影やネット副業などにもチャレンジできる図書館/コワーキングスペースづくりに取り組んでいます。
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