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図書館のニーズ(コトラーのニーズの階層化から考える)

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コトラーのマーケティング本をいくつか読み始めているのですが、「あっ」と思ったところを

【ニーズの階層化】
 明言されたニーズ :顧客が口に出して行っているニーズ
 真のニーズ    :顧客が実際に望んでいること
 明言されないニーズ:顧客が期待しているニーズ
 喜びのニーズ   :顧客が望んでいるサプライズ
 隠れたニーズ   :顧客が期待する周りの反応

レファレンスサービスの現場をみていると、実は上のことは少し理解できたりする。
例えば…
 明言されたニーズ : 山中湖の観光地図はありませんか?
 真のニーズ    : 三浦環のお墓の場所を知りたい。
 明言されないニーズ: 三浦環のお墓に行きたい。
 喜びのニーズ   : 三浦環の歌声を聴いたことがあると言う人に出会いたい
 隠れたニーズ   : 三浦環のことを知っていることを心の中の自慢にしたい

とか

 明言されたニーズ : 913.6 ム はどこですか?
 真のニーズ    : 村上春樹の著書の場所を知りたい。
 明言されないニーズ: 1Q84の1、2巻を借りて読みたい
 喜びのニーズ   : 1Q84の3巻がすでにあって、借りる事ができたらとてもうれしい
 隠れたニーズ   : まぁ世間で流行っているらしいから一応は読んでおこうかな…と。

ランガナタンの五法則的にいえば、
 『図書館利用者の時間を節約せよ』的に考えれば、すご〜く遠回りになる。レファレンサー的にいえばインタビュー不足ということにもなろうが…これが、

 利用者 「山中湖の地図はありますか?
 図書館員「こちらのマップケースにございます」
とか
 利用者 「913.6 ムってどこですか?」
 図書館員「あの柱の後ろ側です」と指差す程度。ホームセンターなら棚まで一緒に案内するけど、それすらできてなかったりする orz。

 なので、以降の真のニーズもわからなければ、明言されないニーズやそれ以降のニーズをつかむことすら…残念なほど出来なかったりする。

と、こんなことは実に日常的によくあったりします。
レファレンスサービスにインタビューが必要である…ということは、ときどき耳にしますが、コトラーのニーズの階層化にあるように段取りを解説したものは…みたことがありませんね。

そんな視点でみると、ベストセラーの副本問題は上記の「明言されたニーズ」にのみ答えてしまっているのではないか。そんな気がします。1970年代からはじまった貸出至上主義的な図書館サービスも、明言されたニーズにのみ答えてしまい、そのひとつ深いところにある真のニーズにも、明言されないニーズにも答えないまま…今日的図書館の姿が生まれてしまったのではないか…と、そんな風に思ったりするのです。

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