市民による勉強会が開催されている経緯は、それなりに耳に入ってきてます。
・図書館を民間委託へ 立川市 asahi.com
僕の中では、指定管理者制度に対する是非論は一応の決着がついているのだが、まだまだ一般的には、なじまない論が主流のようだ。
指定管理者制度によって、民間企業だけでなくNPO法人等の市民団体による管理運営も可能となることをしっかり考えるとよいと思います。行政による予測不能な人事異動環境の下で、どれだけ専門性を高めることができたかを考えてほしいな(司書としての専門職採用ならまだしも、多くは一般職採用なのですから)。
日本図書館協会の常世田良理事さんの発言も、判らない訳ではないのですが、
「指定管理者が派遣する従業員はアルバイト採用がほとんどで、3年未満で契約が打ち切られるケースが多い。これでは人が育たず、図書館の質の低下を招きかねない」
これにはちょっと反論したい。またこれは逆に図書館人材の育成は、もはや公共が担える状態にないことを意味していることを考えれば、今後は企業やNPOの社員/職員として、いくつもの図書館を渡り歩きながら経験豊かな人材を育成したり、その企業やNPO(ひいては市民団体)自身が、図書館の文化を支える担い手になっていく…という姿も描けるのではないでしょうか(理想論かな?)。
指定管理者制度は、その土地に暮らす市民によるNPO(市民活動)によって図書館運営を担うことも不可能ではない制度であることを、よ〜〜〜〜く、考えてみて欲しいと思います。
もうすでに、おまかせ民主主義の時代ではないことを住民は自覚しなければならない…と、思うのですが、いかがでしょうか。
【asahi.comより】
図書館を民間委託へ 立川市
2008年05月16日
立川市が行財政改革の一環として、市立図書館の管理・運営を民営化する指定管理者制度の導入を打ち出した。まずは市内8カ所の地区図書館が対象で、将来は中央図書館にも導入する方針だ。実現すれば多摩地域で初めてとなる。市は経費を節減しつつ、開館時間延長などサービス拡充にもつながると利点を挙げるが、市民からは「専門性の高い職員が培ってきた経験が失われ、逆にサービス低下につながる」と反対する声もある。(須藤龍也)
同市が示した「図書館の見直し方針」によれば、開館時間の延長と通年開館を求める市民要望に対応し切れていないと現状を指摘。一方でレファレンス(調べもの相談)に寄せられる質問が高度かつ専門化し、資料の限られる地区図書館では回答まで時間がかかるとしている。
こうした課題に現状の体制でこたえた場合、問題となるのが人件費。図書館全体の年間コスト(06年度)は約12億6千万円で、約5割を人件費が占める。試算では、中央図書館が午後7時、地区図書館で同5時までの開館時間を2時間延長すると、人件費が年間約3千万円増えるという。
そこで打ち出されたのが、公共施設の管理を民間企業やNPO法人などの団体に委託できる指定管理者制度だ。同制度によって民営化した場合、地区図書館だけでも最大で約8千万円経費が削減され、民間事業者のノウハウを生かしたサービスの充実が可能と主張する。導入時期などは未定としている。
10日から始まった市民向け説明会で、大沢祥一(よしかず)教育長は「行政経費を節減し、浮いた分をサービスの充実に向けたい」と理解を求めた。
一方、こうした動きに危機感を強めた市民が昨年9月「立川の図書館を考える会」を発足。数年間の契約で業者が次々に変わる指定管理者制度では長期的な図書館運営ができず、人も育たないと制度導入に反対だ。17日午前10時から市女性総合センターで「市民にとってより良い図書館のあり方とは」と題した講演会を企画している。
メンバーの上田恵子さんは市民向け説明会で「図書館文化を支える司書が育たなくなれば、結果的に市民の不利益になるのではないか」と疑問を投げかけた。
これに対し高橋真二教育部長は「これからは行政が長い時間をかけて司書を育てる時代ではない」と発言。出席した市民や図書館職員がどよめく場面もあった。
立川市の図書館をめぐっては、市の人事制度に問題があると指摘する図書館職員も多い。異動してきた職員の中から毎年1、2人、公費負担で司書資格を取得させているにもかかわらず、その後別の部署に異動する人事が後を絶たないという。ある職員は「立川市は司書を専門職とは見ていない。図書館も無料の貸本屋としか考えていないのではないか」と漏らす。
日本図書館協会もコスト削減ありきの制度導入に反対の立場だ。常世田良理事は「指定管理者が派遣する従業員はアルバイト採用がほとんどで、3年未満で契約が打ち切られるケースが多い。これでは人が育たず、図書館の質の低下を招きかねない」と話している。
(写真)
指定管理者制度導入に関する市民説明会。10日から31日まで、市内9カ所で開かれる=立川市曙町2丁目
平日は山中湖村の森の中にある図書館 山中湖情報創造館に、週末は清里高原の廃校になった小学校を活用したコワーキングスペースもある 八ヶ岳コモンズにいます。「わたしをかなえる居場所づくり」をイメージしながら、テレワークに加えて動画撮影やネット副業などにもチャレンジできる図書館/コワーキングスペースづくりに取り組んでいます。
コメント
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すばらしい司書さんに出会う場合もありますが、
これが司書さん?と首をかしげることも多々あります。
逆に、民間の方の中に、ひゃーと驚くほど図書館の書物に精通されている方もいる、主みたいな。笑
そういう方が何人か集まれば、びっくりするような図書館の楽しみ方ができそうなきもします。
民間委託は、いろいろな閉塞したこれまでのシステムを読み直すチャンスと考えるしかない事態になってしまっていると思いますね。一度、そこを通過したほうがいいと僕は思っています。 Like
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大阪府では、多くの公共施設が廃止や売却の検討がされていますが、実はどれもすでに「指定管理者制度導入館」なのです。大阪府のように図書館に理解のある首長さんならまだしも、そうでないところでは、経費縮減/サービス向上のためにこの制度を導入し、それでもダメなら統廃合の末に残す館と廃止する館が出てきて、廃止する館の中には地域市民らが自分たちで運営するという所も出てくるように予想しています。
おそらく、そうした経験を経て、いろいろなことを学ぶんじゃないかなぁ…って。
そうそう、これは図書館に限らず、博物館や美術館でも言えることかもしれません。 Like
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そうですね。僕は公務員をやめた人間ですが、
やっぱり市民のためにがんばる公務員、という感じ、は薄かったなあ。そのことがやりたくてかなわない人たちの
夢がかなうような公務員づくりが大切。そういう公務員さんと、最近僕はよく出会うようになりました。大きな改革の波にもまれて、それでも俺はやりたいんだという人たちが、がんばれる時代になってきたのではないかと、期待もしています。 Like
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そういえば、僕も昔は公務員だったような….
僕の場合は、大きく見れば「国民の生命と財産」を守るお仕事だったりしますが、災害派遣に出れば(僕自身は出てません)、目の前の一人の人間を助ける…そんなお仕事でした。
公務員であれ一般会社員であれ、大原則は「誰を見て仕事をするか」なのかなぁ…なんて思ったりします。お客さま、それとも上司の顔色、同期よりも上に…。
夢がかなうような公務員づくりが大切…なのかな。
僕は、市民の夢をかなえるために努力する公務員像を描いちゃったりしてます。 Like