こんにちは、まる3です。
Amazonプライムビデオで『太宰治短編小説集』をみたら、すごかった!
太宰治の小説は、それなりに読んでいたつもりだったが、「つもり」でしかなかったなぁ〜と、あらためて感じた。こうして今現代の役者さんたちが演じ、あるいは映像になっても、まったく色あせていない…というか、新鮮な作品さを感じたりする。
それぞれ、映像としての表現方法は異なっている。「カチカチ山」は舞台演劇を読み合わせから上演までの時系列で映像が作られている。あらためてこの作品の本当の(?)意図の恐ろしさを感じたりもする。
「トカトントン」は終戦後の様子を主人公目線でかいまみると同時に、ひとりの男性からみた女性への視線の変化に、かなり驚かされる。
「女生徒」は映像的にはひとつの学園ものの青春映画らしさを感じたりもする。父親が死んで母親と二人暮らしの女生徒。なるほど、こうした演出で古典的な作品だと思われていた小説がまったく新しい映像作品になりうるのか…という気持ちだ。
「きりぎりす」高橋マリ子による昭和初期の女性像なのか、あの時代特有の空気感が出ている映像。夫はつねにシルエットで登場。ひとりの女性のモノローグなのだが、売れないからこそ魅力的だった男、売れ始めたら魅力を感じなくなった夫…もしかしたら、太宰自身が「妻」にこう思われているのではないか、こう思ってほしいなぁという願望もこめて描いているようにさえ思う。
「走れメロス」は、絵的には森山未來が現代風なスーツを着てネクタイをしめているメロスを演じている。背景はまるで紙芝居だ。ひとつの舞台をみているように感じる。これもまた映像表現としておもしろいかもしれない。
「畜犬談」はっきり言おう。僕的にはあまりおもしろくは無かった。太宰が犬嫌いなのかどうなのかは知らないが、とにかくよく観察する人であることだけはわかった。観察して観察して、文字にし、文章にして表現する人。好き/嫌いを超えて「観察すること」の大切さとそれを言葉として表現することの試みは、とても参考になる。
「グッド・バイ」まぁ僕には縁のないことかなぁ〜と思いながら、朗読を聞いていた。切り紙の人物アニメーションはとても手間がかかるのだろうなぁ〜と感じながら。それでも一旦切り紙ができてしまえば、スキャンしてデジタル化して、AfterEffectあたりでアニメーション化するのは、それほど難しい技術ではないだろうなぁ〜みたいな。それくらい話の内容は頭には入ってこなかった。
それにしても…太宰治は女性を観察する視点/視線には尊敬にあたいするかもしれない。芸術家とはかくあるべき…なのだろう。観察して観察して観察して、少し考えて、表現して表現して表現する。
昔の小説、時代背景も異なる物語であっても、いま風に映像として表現することは可能である。僕もどこかで青空文庫にある作品を原作にして、短い映像作品をつくってみるエクササイズが必要なんだろうなぁ〜と、この映像化された「太宰治短編小説集」みながら感じたりする。
太宰治短編小説集
エピソード1
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「お伽草紙より カチカチ山」
兎:満島ひかり
狸:皆川猿時
作者:菅原永二
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「トカトントン」
朗読:野田秀樹
出演:渋江裕介 -
「女生徒」
女生徒/朗読:山下リオ
女生徒の母:相築あきこ
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「きりぎりす」
妻/朗読: 高橋マリ子
夫:太田智也
但馬:高橋K太
エピソード2
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「走れメロス」
メロス:森山未來
ディオニス:モロ師岡
セリヌンティウス:純
朗読:田中泯
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「畜犬談」
朗読:斉木しげる -
「グッド・バイ」
朗読:UA
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平日は山中湖村の森の中にある図書館 山中湖情報創造館に、週末は清里高原の廃校になった小学校を活用したコワーキングスペースもある 八ヶ岳コモンズにいます。「わたしをかなえる居場所づくり」をイメージしながら、テレワークに加えて動画撮影やネット副業などにもチャレンジできる図書館/コワーキングスペースづくりに取り組んでいます。
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