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市民メディアは小さいマスメディアなのか…

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TOKYOメディフェス2009に(ちょこっとだけ)参加した程度ではありますが、いわゆる「市民メディア」に対するひとつの懸念が未だに払拭できずにいるので、それを今一度書き出してみたい。

それは
 市民メディアは小さいマスメディアなのか
ということ。

視聴者(オーディエンス)からみれば、マスメディアと同じ土俵でコンテンツの質が問われることとなり、結局行き着く先は「マスメディアをモデルにした番組づくり」に向かってしまうのではないか…ということ。番組として成立させるために、オープニングがあったり、タイトルコールがあったり、投書を読んでみたり等々…。結局マスメディアのミニチュア版が市民メディアなの?という疑問を、今でもず〜〜〜っと、抱えていたりするのです。

さらに、市民メディアがマスメディアのミニチュア版であるとするならば、さらに大きな懸念材料があります。それは[ヒエラルキーに囚われること]なんです。例えば、マスメディアの放送局には、数千万円規模の機材がありますが、市民メディアのスタジオ機材は数万円程度。導入している機材のランクだけみても、順列が出来てしまいます。ましてやアナウンサーのランクやら出演者のランクやらで、[メディアとしてのランクづけ]が生まれてしまう。当然ながら、「どうせウチの機材はこの程度さ」みたいな思いが生まれてしまいがち。番組の編集機材だった高い機材もあれば数十万円の安い機材もあるし、編集技術だって上手や下手があったりする。市民メディアがマスメディアのミニチュア版になろうとすればするほど、このヒエラルキーに囚われてしまうのではないか。これは「市民メディア」のあり方としてどうなんだろう…って。

それを思ったのは、YouTubeの動画なんです。

正直なところ、番組としての体裁もなにもあったもんじゃない。タイトルもなければクレジットロールもない。いきなり動画クリップがはじまって終わる。それでもおもしろい番組は世界中から注目されるんですね。ここでポイントなのが、YouTubeにアップされている動画の多くは、マスメディアの番組なんかモデルにすらしていない…ということ。そのために、マスメディアの番組づくりとは比較されないし(そもそも比較対象にすらならない)、メディアとしてのヒエラルキーにも囚われていない。逆にマスメディアの番組にそのまま使われるほどの魅力を持っている。そういう意味ではとても自由なメディアなんです。市民メディアがマスメディアの番組をモデルにすればするほど、このヒエラルキーに囚われ、NHKやBBCやCNNなどのメディアのヒエラルキーの中で、下〜〜〜の方に、位置づけられちゃったりするのです。少なくとも視聴者から見た印象としてね。

これが不思議なことに、YouTubeではあれだけスタイルにこだわらない映像クリップをアップするのに対して、Podcastになるといきなり「番組」をつくろうとする。にわかDJもどきになったように、マスメディアのラジオ放送番組をモデルしちゃうんですよ。なんでかなぁ〜〜〜?

なので、市民メディアはマスメディアの番組づくりをモデルにしないスタイルを持つ必要があるんじゃないか…って、考えているんだけど…。僕らはあまりにもテレビやラジオの視聴者としての体験を積んでしまったせいか、『マスメディアのつくる番組スタイル以外の番組モデル』を見つけ出せないでいたりする。

たぶん、すご〜く大雑把な言い方をすれば、「市民メディア」はマスメディアのつくる番組スタイルとYouTubeの動画クリップの中間に、その番組スタイル/番組モデルを持つことになるのだろうけれど…それがいったいなんなのか。少なくとも結婚式の最初から最後までを見せられるものではないとは思うのだけれど…(市民メディアならそれもありかな?)

デジタルアーカイブで考えたことなのですが、

 個人メディア/家族メディア/学校メディア/団体メディア/行政メディア/地域メディア

などなど、いろいろたくさん、それぞれの立場や伝えたいもの多様性と同じだけ、「◯◯メディア」が存在するし、それぞれのメディア毎に番組スタイルがあっていいと思う。なので、市民メディアはマスメディアと同じ番組スタイルに固執する必要は全く無い…と、個人的には思うのだけれど、撮影スタイルや編集方法、はてはイマジナリーラインがどうのこうのマイクジャマーあれがいいこれがいい云々カンヌンと、いきおいこれまでのマスメディアが培ってきた番組スタイルを周到してしまいがち…なんですね。

なので、僕自身は「市民メディア」はマスメディアのミニチュア版ではない!と考えているのですが、大方の市民メディアといわれている番組は、残念ながらマスメディアがつくる番組スタイルにハマってしまっている…そんな風に思えてしまうのです。

コメント

  1. yamaiku より:

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    これもまた、プロとアマチュアの間の問題ですね。丸山さんなどはいろいろ知っちゃってるから、かえってむずかしい。笑 遠近法勉強してない人のほうがおもしろい絵を描く、のとおんなじ理屈ですね。で、どうするか。丸山さんは番組を作らないで、しろうとに任せるのです。笑 これができるか?口を出したくなる?なるよねー。プロとアマチュアの間を行き来できるのか?の問題ですが、知っちゃうとなかなかぬけられないんですよねー。その問題に、つなぐも当初からずーっとかかわってきました。程度の差はあるのですけどね。 Like

  2. yamaiku より:

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    そもそも、市民メディアはマスメディアより小さいか?などということは、素人は考えないんですよ。笑 だけど逆に素人はメディアをつくろうなんても考えない。つなぎて、って、実に難しいですよね。自分を出さずに、相手を活かして、相手が生きたら、その場にはいない。これができるかな・・・。 Like

  3. SECRET: 0
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    >yamaiku さん
    どうも、「市民メディア」に取り組み始める人たちの多くは、「プロが作っている番組づくり」に囚われちゃうんです。機材だってチープだし、アナウンスだって素人。それなのに普通のテレビ番組風に作ろうとする。取材のシーンや現場レポートのシーン、スタジオのシーンなど。
    それに比べて、YouTubeの動画はまったくそんなことに囚われていないにも関わらず、コンテンツとして成立しちゃってる(受け入れられている)。その違いに着目しているんです。
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