「知識の単位」「関係を表す言葉」「再帰的構造」というメガネをもって、図書館を見ると…これがなんと、大変なんですね。
図書館は、情報や知識を扱っているものだとばかり思っていたのですが、実際には、書籍をはじめとするメディア(媒体)という物質を扱う機関だったのです。だから、書籍/新聞/CDやレコード/フィルム、ビデオ、LD、DVDといった“メディア”に振り回され、肝心の中身(コンテンツ)や知識を扱うことができなくなっていたのです。
実は、「目録カード」の時代に戻れば、ひょっとしたらメディアに降り回されない図書館づくりも不可能では無かったかなぁ…なんて、懐古趣味にはしってしまいます。目録カードの[件名]を主役に置けば可能だったのです。目録カードを電子化した際に、そんな可能性を排除し…結果として目録の電子化(OPAC)の導入によって、さらに図書や記録媒体という物体である“メディア”に振り回されることになってしまいました。
おそらく僕は、そんな図書館の在り方に疑問を持っている一人だと思います。
チラシの例ではありませんが、“メディア”は「知識の単位」を再構成することで、再定義できます。もちろん“物体”としての本やDVDなどを扱うこともできますが、なによりも「知識の単位による情報の正規化」ができる機関としての図書館像を描いているのです。それによって、書籍も新聞もテレビのニュースも地域の出来事も、まったく同列に扱うことができ、それこそが、これからの図書館に求められる大きな機能なのではないかと考えるのです(本を入手するだけなら、ネット通販だってある時代です。近くに書店がないから図書館が必要…なんて言い訳は通用しませんし、レファレンスだってネットでの検索程度で日常生活には支障がない時代なのですから)。
まず簡単なところから言えば、書籍や雑誌の[目次]や[索引]、新聞なら[見出し]、音楽CDなら[楽曲]、DVDならば[チャプター]に注目し、それらを「正規化」するイメージで、図書館の情報システムを再構築します。これにより図書館は、入館時に視線に入ってくる物理的な姿がおなじであっても、いったんコンピュータの検索空間に入ると、とんでもない知識の海/叡智の銀河に触れることができるのです(数年後には、文字通り“触れる”ことができそうです)。
あ”〜だめだ、ここまで書いていたら、本当に作らなければいけない気持ちになってきた。基本的なサーバとソフトウェアをを準備しなければ…だが、どうやって資金を調達するか…それが問題だ
平日は山中湖村の森の中にある図書館 山中湖情報創造館に、週末は清里高原の廃校になった小学校を活用したコワーキングスペースもある 八ヶ岳コモンズにいます。「わたしをかなえる居場所づくり」をイメージしながら、テレワークに加えて動画撮影やネット副業などにもチャレンジできる図書館/コワーキングスペースづくりに取り組んでいます。
コメント
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とても奥深い記事ですね。県立図書館の建設地も決まったようですが、今後は現在の図書館情報システムの再構築もあるのか、現状のまま建物だけ移転するのか、その点が気になります。
もし情報システムも再構築ということなら、出来合いの図書館ソフトを導入するなどと考えずに丸山さんのような発想を活かしていただきたい、デジ研さんの出番じゃないかと(^o^) Like
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>アイシティkofu さん
コメント、ありがとうございます。
おそらく「図書館」という名前がついている時点で、それはあり得ないですね。これは一種のパラダイムシフトですから。何か違う器なのかもしれません。
図書館、博物館、美術館、生涯学習機関、観光、フィルムコミッション、地場産業、地元学…などなどなど、そういったものの根本的な情報基盤を担う機関があったらいいなぁ…なんて、思ってます。
ひょっとしたらこれは、行政でもなく、NPOでもなく、まったくの個人でもできることなのかもしれない…などと思っていたりします。 Like