ホラホラ、これが僕の骨だ、
生きてゐた時の苦労にみちた
あのけがらはしい肉を破つて、
しらじらと雨に洗はれ、
ヌックと出た、骨の尖(さき)。
それは光沢もない、
ただいたづらにしらじらと、
雨を吸収する、
風に吹かれる、
幾分空を反映する。
生きてゐた時に、
これが食堂の雑踏の中に、
坐つてゐたこともある、
みつばのおしたしを食つたこともある、
と思へばなんとも可笑(をか)しい。
ホラホラ、これが僕の骨――
見てゐるのは僕? 可笑しなことだ。
霊魂はあとに残つて、
また骨の処にやつて来て、
見てゐるのかしら?
故郷(ふるさと)の小川のへりに、
半ばは枯れた草に立つて、
見てゐるのは、――僕?
恰度(ちやうど)立札ほどの高さに、
骨はしらじらととんがつてゐる。
(「詩集・在りし日の歌」より)
—
最近、ちょっと気になっている詩。
なんでかなぁ…
ある方とのブログのコメントのやりとりで、「執筆療法(writing therapy)」なんてものがあるかもしれないね…などとやりとりをしているう。
書くことで癒されることはあるのだが、表現するための語彙を豊かにし、言葉を使って表現することで、自分自身への精神的な治療になるのかもしれない。
書き出す事による治癒力。
「執筆療法(writing therapy)」って、図書館プログラムっぽくないかな?
平日は山中湖村の森の中にある図書館 山中湖情報創造館に、週末は清里高原の廃校になった小学校を活用したコワーキングスペースもある 八ヶ岳コモンズにいます。「わたしをかなえる居場所づくり」をイメージしながら、テレワークに加えて動画撮影やネット副業などにもチャレンジできる図書館/コワーキングスペースづくりに取り組んでいます。
コメント
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詩の全文を掲載しているので、著作権処理はどうなっているの?って思う方もいらっしゃいましょうが、中原中也はすでに著作権切れております。
詩集・在りし日の歌(青空文庫)
http://www.aozora.gr.jp/cards/000026/files/219.html
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執筆療法だとちょっと堅苦しい感じがしませんか?
私なら「作文療法」ですね。
英語だと…あれ、同じだ。 Like
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20代の頃、初めてこの詩を読んだときは下手な詩だなと思ったのに
小林秀雄がかいた死んだ中原でこの詩を引用するのを読んで
この感性こそが中原の強い魅力だったのだと知りました
昔、一緒に暮らしていた子が山口だったので
湯田のあたりもしょっちゅう行きました
鎌倉の小林秀雄の墓が
いつも鮮やかな花で飾られているのと比べ
山口の川沿いの中原の墓は
花の枯れた跡さえ見かけられませんでした
なんだかとても懐かしくなってきました
また読み返してみます Like