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都内で見かけた気になるポスター

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公共広告機構 AC子どもの読書推進会議のコラボです。イラストはいわさきちひろさんのもの。

 ・ほんのちから

僕自身は図書館の館長をしているので、子どもの読書推進活動は必要だと思っています。いわさきちひろさんのイラストを使ったこのポスターも、わるくはないと思います。むしろとても良いとおもいます。ですが….


【以下、僕の本音】
この広告キャンペーンが子どもの読書の全てではないとは思うのですが、何かこうしっくり行かないものを感じてしまうのです。
あえていえば、「読書は道徳の手段ではない」「道徳の目的にとして読書をダシに使って欲しくない」。「子どもたちに『読書』のイメージを固定して欲しくない(それが大人になった時の読書離れに繋がる)」等々。今の子どもたちにとっては、彼ら自身の言葉にはなっていないのですが、そう押し付ける大人の意図が見え見えで、感想文を書かせれば「相手の気持ちがわかる」ことが評価の対象になること事態が、ちょっとウザッタイと思われている。それだけに小学校3,4年生あたりを境に、はっきりとした読書離れが起きています。

読書活動を極めてメンタルでプライベートな領域のものとして扱っている限り、OECDのPISAテストや全国学力テストにおける基礎力はよいが応用力がダメという結果をず〜っと引きずることになると思っている。重要なことは「文字や活字から読み解く力」であり、「文字や活字で伝える力」なのだ。言葉や文字にならないことを感じろという今の子ども向けの読書活動には、大いに異議を唱えたい。KYだの、空気が読めないだのと言うが、僕は日本が前の戦争に突入した時、軍部の暴走…といわれているが、真実は国民がそれを望んだ空気をつくり、それを読みすぎて誰も反対できなかった…のではないか。空気を読みすぎるとこの国は戦争に走る。走り出したら止められない国民性がある(ちょっと極論すぎるかもしれませんが…睨まれるだけで黙ってしまう国民性には気をつけなければならない。睨むことは命令書にも議事録にも記述されないのですから)。

それよりも求められているのは、[文字や活字から読み解く力]であり、[文字や活字を用いて表現し伝える力]なのだ。それを養うためには、どこかの時点で大きなパラダイムシフトが起きない限り、この国の子どもたちの未来は…厳しいかもしれない。

※ただし、ネット上の掲示板やチャット、ケータイのメールなど、「文字によるコミュニケーション能力」は、彼ら彼女らなりにスキルとして身につけている(心配なのは大人がコントロールできない修得の仕方をしている…ことかな)。そういう意味では彼ら彼女らなりの「生きる力」を付けようとするシブトさを感じて嬉しくなるのです。

コメント

  1. lanova より:

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    本を読むことで得られることは随分多いと思います。その中でも一番大きいのは、未知の分野を知ることではないでしょうか。特に子どもたちにとって実体験の場は少ないですよね。行動領域も限られているし、社会も学校と家庭がほとんどでしょう。そういう時代に、本を読むことで知る世界って、子どもにとってはとても興味深いものになると思います。そういう意味でできるだけテリトリーは広げておくべきではないかと思うのですが…「道徳」もその中の一つではないでしょうか。 Like

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    さっそく、ありがとうございます。
    ちょっと何度か書き直してました。
    ご指摘のとおり、「読書」ってもっと多種多様な目的を持っているにも関わらず、「子どもの読書活動推進」という時点で、ほとんど100%道徳が目的になってしまい、文字や活字による読解力はさておき、「この本を読んであなたが何を感じたか」が評価され、文章から何を理解したかは二の次三の次」というくらい、感情が評価される風潮があるのです。個人的には、こうしたどう感じたかの感情論を感想文として書かせることには、とても反対なのです(それはきわめてプライベートなことですから)。
    ということで、読む力がロジカルに読み解く事よりも、行間を感じることを良しとする風潮(空気)が、どうも苦手ですし、子どもたちにそれを強要したくないと思っています。
    「道徳」も読書が持つ沢山の可能性の一つとして扱われるなら、僕も同意できます。 Like

  3. やまこ より:

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    ほんとうですね。本を読むことは、想像力やシミュレーション能力を培うことではないのかしら。
    いろんな名作物語が「闇」をテーマにしていることでもわかります。ゲド戦記とかね。 Like

  4. ちあぼん より:

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    ちあぼんは、完全文系なのですが、「科学絵本」好きなのです。(SF好きでもある。)
    今日は、「絵本を(海外に)届ける運動」の絵本のチェックのボランティアに行って、「科学絵本」のチェックもしてきました!
    「おはなし絵本」で、道徳とか、情緒とかも大事ではあると思うけれど、「科学絵本」を好きな子っていうのも少数ながらいるんですよね。「おはなし絵本」だけに偏りがちな傾向はあると思うので、ちあぼんは、あえて「科学絵本」推進派です。
    中学校の学校司書をしていたときに、「こういうことを言えば、大人は喜ぶ」という空気を読んだ(?)優等生な子達が、たくさんいました。
    たぶん、大人より、彼らの方が上手です。 Like

  5. SECRET: 0
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    >やまこ さん
    >ちあぼん さん
    コメントありがとう。
    ロジカル・シンキング…なんてのがあるのであれば、ロジカル・リーディングってのもあると思うのです。先ほど、読書感想文(Wikipedia)をみたら、ちょっとびっくり。「道徳的」で主観的な意見や感想は評価されるのと同時に、その上はいきなり大学論文的なものを要求される…これじゃぁ、たまりません。
    もっと普通に読み解く力を養うにはどうしたらいいんでしょうか。
    今やっているジュニアライブラリアンたちとのワークショップで、いくつかのワークシートをつくっているんだけど、その中に「プロファイリング」をテーマにしたものがあって、物語の登場人物の性格を読み解き、それは文章の中のどんな記述でそう読んだかを書くようなもの。最初は文章の記述だけだったけど、ここにきてレーダーチャートで登場人物分析をしてみようかな…なんてことも考えてる。
    それと、ちあぼんさんのご指摘のとおり、子どもは「こう答えれば大人は喜ぶ」ってことを見抜いてます。僕もそうだったからよくわかる。だからそういうシチュエーションのときは最初に言っちゃう「大人を喜ばせようなんて思わなくていいんだよ」ってね。 Like

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