教育基本法が改正されたことによって、社会教育法の改正やさらに図書館法の改正に向けた議論が行われている。
そこで、いつも議論になるところではあるが、図書館の無料の原則を定めている
【図書館法】(入館料等)
第17条 公立図書館は、入館料その他図書館資料の利用に対するいかなる対価をも徴収してはならない
が、博物館法と同様に改正されたら、いったいどうなるんだろう。
【博物館法】(入館料等)
第23条 公立博物館は、入館料その他持物館資料の利用に対する対価を徴収してはならない。但し、博物館の維持運営のためにやむを得ない事情のある場合は、必要な対価を徴収することができる。
ということで、
【改正図書館法(案)】(入館料等)
第XX条 公立図書館は、入館料その他図書館資料の利用に対する対価を徴収してはならない。但し、図書館の維持運営のためにやむを得ない事情のある場合は、必要な対価を徴収することができる。
こんな条文で、日本の公立図書館はどう変わるだろうか?
シミュレーションしてみるのもおもしろかもしれない。
【参考】
・中央教育審議会 生涯学習分科会 文部科学省
・生涯学習分科会 制度問題小委員会:
第1回 | 第2回 | 第3回 | 第4回 | 第5回 | 第6回 | 第7回 |
平日は山中湖村の森の中にある図書館 山中湖情報創造館に、週末は清里高原の廃校になった小学校を活用したコワーキングスペースもある 八ヶ岳コモンズにいます。「わたしをかなえる居場所づくり」をイメージしながら、テレワークに加えて動画撮影やネット副業などにもチャレンジできる図書館/コワーキングスペースづくりに取り組んでいます。
コメント
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お世話になります。そうなると「生涯学習権」の保障機関である公立図書館の存在意義がなくなってしまうと思います。もともと私立図書館はお金取っていいのですから。これでは公と私の区別があいまいになってしまいます。いかがでしょうか? Like
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>らんた さん
コメントありがとうございます。
さて、基本的なことなのですが、『「生涯学習権」の保障機関』という点では、博物館や美術館も同様ではありませんか? だからこそ、公立の博物館、美術館、資料館は無料が原則であると法律に書かれているのだと思います。博物館法の但し書きは「維持運営上やむを得ない場合」に限りとあるのは、そのためだと思います。
また、公費のみに依存することで、夕張ではありませんが「公費からの予算がないから閉鎖してしまう」あるいは「図書館設置に予算は割けない(という自治体もまだ存在している)」ことの方が、行政による生涯学習権を保障することの放棄ではないか…と、思うのです。
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新版図書館学の五法則:
・本は対価を払える人が利用するためのものである
・すべての本に、その対価を払える利用者を
・すべての人に、その人が払える対価に応じた本を
・図書館利用者の時間を、支払える対価に応じて節約せよ
・図書館は利用者が支払える範囲で成長する有機体である Like
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>通りすがりのランガナタン さん
コメントありがとうございます。
僕としては、上記のように図書館法が改正されても、入館料を取ったり、資料貸出で料金をとったりすることは、まず起こらないと思っています。その2つに関しては無料の原則を貫きつつ、では何をもって維持運営のために収入を得る事業(サービスや販売等)が可能なのかを考える期間があるように思っているのです。無料の原則はありながらも、資料複写のコピー代は徴収しています。郵送や宅配による貸出/返却時の送料は利用者負担です。
できるところから、可能なところからはじめつつも、もし図書館法が改正されたら…というシミュレーションができないかなぁ..と、思っているのです。 Like
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そうそう。
すでに公立図書館で、パソコンを有料で貸出しているところもあります。
パソコンは図書館資料ではないから、無料の原則に抵触しないのだそうです。ですが、もし図書館資料としてのデジタルアーカイブを閲覧するのに、有料貸出のパソコンでしか見れない(館内閲覧のみ)としたら、これは図書館資料の提供に対する対価ではないのかな…なんて思ってます。
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私は、“上記のように図書館法が改正されても、入館料を取ったり、資料貸出で料金をとったりすることは、まず起こらないと思っています。”というのは余りにも楽観的すぎると考えています。
言い換えると「博物館でも金を取っているではないか」の一言に対抗できるだけの政治力を持つ図書館は全国でもほとんどないと思います。 Like
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>通りすがりのランガナタン さん
そうかもしれません。
図書館法が博物館法と同様に改正された場合、3つの道をとるでしょうね。
ひとつは、博物館や美術館と同様に入館料を取るところ。
ふたつは、入館料と貸出料を取るところ。ただ、貸出に料金を取るとなると、こんどは著作権法や権利団体等との関係が生じるため、貸与権などの金銭処理とその透明化が求められます。
みっつめは、それでも入館料や貸出の料金はとらないところ…です。
(ほかにもあるかも)
図書館利用を有料化した場合、図書館は2つの道を取るでしょうね。ひとつは今以上に閑古鳥がなき、収入もあがらず、利用もすすまず、いずれは閉鎖/廃館という道。もうひとつは、『お金を払ってでも行きたい図書館づくり』に取り組む図書館が誕生するかもしれません。どんな図書館は今イメージすることは僕にもできませんが、何らかの道を見つけるところがでてくることを期待します。 Like
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また、3つめの道を選んだ図書館は、公費から削減された分を何で補填するかを考えなければなりません。今注目しているのは、神戸六甲のRICコミュニティライブラリーです。それでも地域住民が図書館の存在を必要とするなら、地域住民が直接支える仕組みの中で、図書館が生き残るかもしれません。ま、そのときは、単に図書を貸しているだけではなく、さまざまな事業を行っているとは思いますが。
そういう意味で、
「お金を払っても行きたい図書館」をつくるか、「それでも地域住民が必要とする図書館」になるか。図書館の本領発揮/底力を発揮しなければならない時代が来るように思うのです。
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三パターンに分かれるだろうという御分析については特に異議ありません。そして、私としてはほとんどの“図書館”はとつは今以上に閑古鳥がなき、収入もあがらず、利用もすすまず、いずれは閉鎖/廃館という道をたどるのではなかろうかと思います。(市民会館等のホールと同じ道ですね。)
また、税金を投入する価値のある“地域住民が必要とする図書館”を目指すと同時に金を持っている人(首長・議員・有権者)にアピールする必要があることも見落としてはならない事実だと思います。ついでに書くと、ランガナタンの『図書館学の五法則』でも、竹内紀吉の『図書館の街浦安』でも、強調している部分でありながら、日本の図書館学においては重要視されていない視点だと思っています。 Like
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>通りすがりのランガナタン さん
図書館法第17条が改正されると、かなり悲惨な状況になりそうですね。どうやらねじれ国会の影響か、図書館法改正は見送られそうです。
税金を投入する価値のある地域住民が必要とする図書館は、現状においてもめざすべき姿ですよね。対象地域住民の2〜3割程度しか利用していなとしたら、先行き不安だと思うのですが、そのあたりに図書館関係者は危機感を感じてはいないのでしょうかね。
お金を持っている人…ある意味で図書館のスポンサー(?)になってくれる人とのつながりを作る事は大切ですよね。さらに「図書館利用者」を英語圏では「patron/patroness パトロン(男)/パトロネス(除)」と言うようです。
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=patron&stype=0&dtype=1
常にそういう言い方をしている図書館スタッフは、やはり利用者さんに対する対応も、おのずと違ってくるのでしょうね。
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図書館関係者は危機感を感じてはいないのでしょうかね。」というお言葉、私も同感です。
また、パトロンの件、「委託になって笑顔で迎えてくれるようになった」というコメントに教条的な反発をするのが主流ですから道は遠いですねぇ。 Like