市民メディアのあり方を考える時に、ず〜〜〜っと引っかかっていることがある。その根本的な考え方の有り様が、タイトルにもある『プロの偽物、アマチュアの本物』なのだ。
アナログの時代においては、プロは限りなくプロであり、アマチュアは足下にも及ばない状態だった。
ビデオの編集ひとつとっても、プロ用の機材は数百万、数千万円の世界で、とてもアマチュアがちょこっと買ってみようか…なんてことはできないわけで、それこそプロとして高額の投資をしても見合うだけの取り組みである。ところが、デジタルの時代になってこれが大きく変わった。ビデオ編集の世界ですら、フルハイビジョンのテレビカメラは数十万円(中には十万円を切るもののある)。編集システムだって、iMacとiMovieならば20万円以下。さらに本格的なものを目指そう考えても、Mac Pro (50万円)+モニタ(20万円)+Final Cut Studio(15万円)….100万円もあれば、プロの現場とほぼ同じ機材が揃う。
そんな時代にあってなお、市民メディアはプロの偽物を目指す必要なんて、どこにもない。市民メディアはアマチュアの本物であることができるのだ…と、思う。
判りずらいので、スポーツでの一例。
フットサルは、サッカーに偽物ではなく、フットサルという競技の本物である。
ビーチバレーは、バレーボールの偽物ではなく、ビーチバレーという競技の本物である。
カートレースは、F1の偽物ではなく、カートレースという競技の本物である。
そんな捉え方。
というわけで、市民メディアは既存の放送局や新聞社、出版社の偽物をつくるのではなく、市民メディアという本物を目指すことができる。本業は他にもありながら、夜な夜な集ってコンテンツを作るのもよい。自宅でひっそりと録音するのもよし。携帯電話を使って外出先で見つけた話題を写真や動画で集めるのもよし。すべては市民メディアの本物の活動なんだ。
….と、いうことを、いつかどこかできちんと伝えたいな…と、考えている。
未来学者のアルビン・トフラー氏は、「プロシューマー」という言葉を作り出した。僕なりに日本語で訳せば「生産する消費者」だ。ただ、この生産はプロの偽物ではない。消費者の生産する本物なのだ。という意味において、「セミプロ」はプロの存在を意識し、そこには至らない存在を示しているのに対し、「ハイアマチュア」はアマチュアの本物を意識しているように思う。
というわけで、「市民メディア」はアマチュアの開き直りからスタートするのかもしれない。
平日は山中湖村の森の中にある図書館 山中湖情報創造館に、週末は清里高原の廃校になった小学校を活用したコワーキングスペースもある 八ヶ岳コモンズにいます。「わたしをかなえる居場所づくり」をイメージしながら、テレワークに加えて動画撮影やネット副業などにもチャレンジできる図書館/コワーキングスペースづくりに取り組んでいます。
コメント
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水戸で、この↓プログラムに乗れるような活動を、アーカイブとの関連で立ちあげてみたいと思っています。
花王・コミュニティミュージアム・プログラム http://www.civilfund.org/fund25.html
今日その打ち合わせで、ちょうど、機材のレベルとプロ/アマのはなしをしてきたところでした。 Like
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>kitaoka さん
ご活躍のご様子、うれしく思います。
機材のレベルというよりも、「その機材を使うにあたり、どれだけの専門知識や技能が必要になるのか」を考えるとよいのではないでしょうか。業務用のビデオカメラは、確かにすばらしい画質かもしれませんが、小さなスイッチがたくさん着いていたり、いちいちホワイトバランスを調整しなくてはならなかったり…そりゃもう大騒ぎ。設定がシンプルな機材を選ぶことがポイントですね。2,000円のマイクも20,000円のマイクもミキサーに接続するだけですが、20,000円のミキサーと2,000,000円のミキサーでは、操作に必要な知識や技能が異なります。専門家でなければ使いこなせない機材なのか、ちょっとした素人でも使える機材なのか…の判断が必要だと思います。 Like