その後も、あいかわらず児童文学/子ども向け読み物世界における魅力あるキャラクターを探している。
その中でわかってきたこと…
1.日本人作家の作品では絶滅状態
2.海外作家の作品には、それなりにある
3.ライトノベル/ティーンズ文庫系にも多少はいる
4.一般書には、魅力あるキャラクターはいる
つまり…図書館的にいえば9類文学作品においては、すべてにキャラクターが不在な訳ではなく、日本の児童文学作品に顕著にみられる傾向であり、それがかえって意図的に魅力的なキャラクターをつくらない文学として見えてきたりする。
そう、
[(かなり意図的に)日本の子ども向けの小説/読み物は魅力的なキャラクターをつくらない]
といえるほどなのだ。
その一方で、ライトノベル系の文庫やマンガ、アニメ、ゲームなどには、そうしたキャラクターをかなり前面に出していたりする。もちろん大人向けの一般書においても、歴史的人物や架空の人物なども含めて魅力あるキャラクターは数多く存在している。
もしどこかで、児童文学作家や子ども向け読み物作家さんにであることがあったら、そのあたりを小一時間でも小二時間でも、問いつめてみたい気もする。そうした作家さんたちは、魅力的なキャラクターが登場する読み物は、ある意味低俗なもの…とでも、思っていらっしゃるのだろうか。
子ども自身が読みたい作品そのものが、児童文学や子ども向け読み物に登場していないから、ちょうどそうした年齢あたりから、読書離れが始まると言ってもいいほどなのだ。
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平日は山中湖村の森の中にある図書館 山中湖情報創造館に、週末は清里高原の廃校になった小学校を活用したコワーキングスペースもある 八ヶ岳コモンズにいます。「わたしをかなえる居場所づくり」をイメージしながら、テレワークに加えて動画撮影やネット副業などにもチャレンジできる図書館/コワーキングスペースづくりに取り組んでいます。
コメント
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はじめまして、児童書の感想ブログを書いているyamada5と申します。現在の日本の児童文学には魅力的なキャラクターがいないとのご見解ですが、わたしはむしろ今の児童文学はキャラクター小説化の方向に傾いていると考えているので、あまりの認識の違いに驚いています。魅力あるキャラクターの例として明智小五郎を挙げられていますが、では、名探偵夢水清志郎は魅力あるキャラクターとはいえないのでしょうか?
できれば、魅力あるキャラクターの定義をもう少し明確にして、今の児童文学のキャラクターがなぜ失格なのかを教えていただけないでしょうか。5/31の記事での定義(個性的である、ロールモデルになる、自分を投影できる等) に当てはめるのであれば、「妖界ナビ・ルナ」のルナや「精霊の守り人」のバルサやタンダ、「魔女の宅急便」のキキなども十分合格であると思われるのですが。 Like
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こんな間合いでグインのお母さん亡くなっちゃいましたしねぇ。 Like
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>yamada5 さん
コメント、ほんとうにありがとう。うれしいです。
僕はまだ、ほんの入口に立ったばかりなのですが(それでこんなことを書くのか!)、児童向け小説でも外国向けにあるようなキャラクターが見えて来ないんです。「魔女の宅急便」の「キキ」はそうだなぁと思います。「精霊の守人」はビミョー。それでもライトノベルズ系にある「キノ」や「涼宮ハルヒ」とかの人物像のような見え方がない。児童書でも古い作品にはあるんですが…読めば分かるが、読む前から名前だけで存在できるキャラクターです。書いていて、こういう風に言えば伝わるかな。
『作品を離れてもなお、存在するキャラクターがいない』…と。
物語の内容は忘れてしまっても、記憶に存在する名前(キャラクター)。そういう存在が、今の日本の児童文学/子ども読み物に居なくなっている。
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>After内藤さん
いつもありがとう。
そうですよね。あの豹頭のキャラクターは魅力的ですね。
なんというか、アニメやマンガなどに登場する《こういう人になりたい》《こういう人にあこがれる》という存在が日本の児童文学世界にいなくなっちゃったと感じているんです。 Like
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バルサはあこがれの対象にはなりませんか。魅力的かどうかという問題の立て方は主観的すぎるので、ある程度目に見える指標を導入しないと議論は平行線になってしまうと思われます。「作品を離れてもなお、存在するキャラクター」というのはニュアンスはわかるのですが具体的ではないので、古今の海外作品や昔の日本の作品でどんなキャラクターを魅力的と感じるのか、具体例を挙げていただきたいです。
なお、[(かなり意図的に)日本の子ども向けの小説/読み物は魅力的なキャラクターをつくらない]というのは誤解です。そういう向きがないわけではありませんが、すべてがそうではありません。新日本出版社の「子どもと本の明日」という本に、児童文学作家の川北亮司が児童文学とキャラクターについて論じた文章が載っていますので、一読をおすすめします。川北亮司のほかにも石崎洋司や令丈ヒロ子など、現在エンターテインメント児童文学で人気の作家は、キャラクターを意識して作品をつくっています。それが成功しているか否かは読者が判断することですが、現実に彼らの作品が売れていることを考えれば、「絶滅状態」であるとまではなかなか断定できないのではないでしょうか。 Like
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>yamada5さん
とても貴重なご意見です。うれしいかぎり。
ご推薦の図書を読んでみます。
具体例としては:
グスコー・ブドリ『グスコーブドリの伝記』(宮澤賢治)
ジョン・シルバー『宝島』
ネモ船長『 海底二万リーグ』
犬塚信乃『南総里見八犬伝』
トム・ソーヤ/ハックルベリー・フィン
ピーターパン
ハリー・ポッター『ハリー・ポッター』シリーズ
桃太郎/金太郎/浦島太郎
ガンバ『ガンバの冒険』(ネズミですが…)
アン・シャーリー『赤毛のアン』
キキ『魔女の宅急便』キキは入れてもいいな。
もうちょっといそうだけど、このあたり。
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実はもともと、某助成財団の子ども文庫支援関係のパンフレットの中に、小学生に読ませたい本100冊…みたいなのがあって、それらの図書を見ていて感じたところが最初なんです。ひょっとしたら「大人が子どもに読ませたい本から[ヒーロー][ヒロイン][魅力的なキャラクター]が消えている」ということなのかもしれません。 Like
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迅速なレスポンスありがとうございます。実りある議論になりそうでこちらも嬉しく思っています。
もし「大人が子どもに読ませたい本から[ヒーロー][ヒロイン][魅力的なキャラクター]が消えている」だけなのであれば、なんの問題もないと思われます。教育的意図みえみえの選書リストなんか子供ははなっから相手にしませんし、大人にすすめられなくても本を手に入れる環境さえあれば、子供は自分のカンや口コミで面白い本を見つけることができます。
わたしのブログの方に、「日本の児童文学に魅力的なキャラクターはいる」という立場からエントリを上げましたので、ご意見をお待ちしています。 Like
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とりあえず実際に書店に足を運んでコーナーを目で見られて、そこにある本をいくつか読まれた上でならばとは思ったのですが。
http://d.hatena.ne.jp/yuzumuge/20070401/
手前の丸二年前の記事ですが、私が書店に当時足を運んで感じた事を書いたものです。
結論は良きにせよ悪きにせよ児童文学はキャラクター強化、ライトノベル化の方向に向っており、二年後の現在はこのジャンルに角川の参入などもあり、傾向はさらに加速していると言えます。
とりあえず作品についてはyamada5さまが記事で取り上げられている4作品と「妖界ナビ・ルナ」「IQ探偵ムー」のご一読をお勧めします。 Like
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みなさん、コメントありがとうございます。
これまでの感じでいえば…
「(一部の)大人たちが子どもにススめる本を読まないからといって、子どもたちは本を読んでいない訳ではない」という印象をうけました。
「精霊の守人」「妖界ナビ・ルナ」「IQ探偵ムー」あたりが「子どもにススめたい本」のリストに入るにはまだまだ時間がかかりそう(意識改革も含めて)。
ではお題第二弾です。 Like
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わたしは中学生の時に上橋菜穂子「守り人シリーズ」や荻原規子「勾玉三部作」を夢中になって読んだ人間です。バルサには本気で憧れましたし、勾玉三部作についてもどのキャラクターが好きか友達と楽しく語り合ったものです。先に挙げた荻原規子は、ブログや自らの著書の中で、「自分が子どもの頃は読みたい本が日本児童文学の中になくて、翻訳ものばかり読んでいた」という趣旨の発言をしていますが、今の若い世代の本を読む人々はむしろ、一部の古典的な作品やハリー・ポッター、ダレン・シャンなど一部の例外を除けば海外ものをあまり読んでおらず(これはこれで寂しいことですが)、日本生まれの児童文学で充足できている人が多いのではないかと思います(少なくともわたしと同年代=ゆとり世代の人達に関してはそういう感触があります)。「大人が小学生に読ませたい本」のラインナップがどのようなものかわからないので何とも言えませんが。 Like