山中湖情報創造館では、話題性や即時性の高い図書を、装備無しで購入することがある。
素の状態(本屋さんで売っている状態)で納品されるので、請求記号づけや書誌データ作成、フィルムコートなどの装備は自館で行う。そういう時に楽しみ(?)なのが、請求記号(NDC)の付け方だ。
通常の流れでは、日販MARCの書誌データから抽出するのだが、これが県内他館の分類と異なる事例が出てくる。そんな中で今回はこの2冊の違いが面白かったので取り上げたい。
・断る力 — 勝間和代∥著文藝春秋2009.2 山中湖情報創造館
他館のほとんどが[159]でしたが、山中湖情報創造館では日販MARCどおり[361.4]としました。
それともうひとつ
・プロフェッショナルたちの脳活用法 — 茂木健一郎∥著日本放送出版協会2009.4 山中湖情報創造館
こちらも他館のほとんどが[159]なのに対して、山中湖情報創造館では[491]としました。
判断に迷った時は、実際にその本をもって書架に行きます。その本がどっちの棚にあるほうがしっくりくるか…この場にたった利用者さんにとってどっちの方が手に取りやすいか…等々。最後にこっそり「おまえはどっちがいい?」と本に聞いたりして。
[159] 人生訓は、まちがいじゃないんだけど実際に書架の前で他の本の背表紙をながめて感じるのは、どちらかというと気持ちが弱くなったときになんらかのアドバイスが欲しい…そんな印象があります。それに対して『断る力』を入れた[361.4]にはアクティブに力強く状況を変えて生きるパワーみたいなものを感じるのです。勝間さんのこれまでの著書からくる生き方をみてもアクティブな生き方をしたい人向け。それに[159]に入れてしまうのはちょっともったいない感じ。
茂木さんの著書は、ずばり「脳をどう活かすか」であって「人生をどう生きるか」ではないんですね。ここにも脳の活かし方をアクティブに刺激する図書であるということを考えると、[491]に納めた方が、他の本とも仲良くならんでいられる感じ。
というわけで、山中湖情報創造館のNDCの付け方は「ポジティブな生き方」をサポートする図書は、一括して[159]でくくっちゃうのではなく、それぞれの場所で活躍して欲しいと願って請求記号をつけたりしています。
(それにしても…『断る力』は帯を取っちゃうと…インパクトに欠けるなぁ….)
平日は山中湖村の森の中にある図書館 山中湖情報創造館に、週末は清里高原の廃校になった小学校を活用したコワーキングスペースもある 八ヶ岳コモンズにいます。「わたしをかなえる居場所づくり」をイメージしながら、テレワークに加えて動画撮影やネット副業などにもチャレンジできる図書館/コワーキングスペースづくりに取り組んでいます。
コメント
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以前、飛行機の機長さんの体験記を自館MARCで受け入れたときに、図書館としては「航空機」ということで6分類(細かい数字は忘れました)を付けたのに、後ほどMARC作成委託に出したら「916」を振られて帰ってきました。
「航空機の本」とは認められなかったのね、となでなでしておきましたが。
伝記なんかが顕著ですが、内容ではなく、記述形態(伝記や体験記)でNDCを取っていることが結構ありますね。どっちが使いやすいかと言うのはケース・バイ・ケースですが。 Like
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>110kAさん
コメントありがとう。
業者さんに依存する前は、それぞれの図書館で[請求記号]をつけていたんじゃないでしょうか。それぞれの図書館が、それぞれの意志の中でNDCを割り振っていた時代がむしろ楽しかったのかもしれませんね。
「あぁ、この図書館はこの本をここに分類したのか。なるほど、そういう解釈もあるか」なんてね。[915]なんて、戦争の記録だったり、いろいろな分野の記録だったりするんですけどね。 Like