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物語の力(多種類情報資源相互参照システム)

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「物語化」という情報の組織化手法に気がつく事ができたのは、実はとある地域情報提供のためのシステムを開発している時でした。

かなり昔、「SuperINDEX(スーパーインデックス)」というシステムのコンセプトを考えたこともあったのですが、それは企画だけでシステム化するには至らず、具体的に作り始めたのは「すたまオープンミュージアム」という地域資源を博物館のように散策できる電子博物館のようなサイトでした。

原型となった「SuperINDEX」
 今思えば、ひとつのパスファインダーのようなシステムでした。あるテーマに関して、関連する書籍、論文、場所(研究施設等)、人物(研究者/著者等)、イベントをひとつの検索結果として表示するものです。

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テーマ :ヤマネ
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関連図書:
研究論文:
関連施設:
研究者 :
イベント:
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をひとめで見る事ができるもの。さらには、関連図書にフォーカスするとその関連書籍が、ヤマネ以外にも関連づけられているテーマを持っているとか、イベントであればそのイベントの主催者や場所(施設)などともさらに関連づけられている等々、どこかWikipediaにも似てなくもないですが、基本的にはデータベースとしての整合性を持ったシステムとして考えていました。

すたまオープンミュージアム[実装]
 このコンセプトを温めながら、自分自身でWeb-DBシステムを作れるようにスキルアップしながら、1999-2000のいわゆる第一次デジタルアーカイブブームの流れと緊急雇用対策事業交付金の時代に、この事業に取り組むことができました。

 基本はSuperINDEXで考え方コンセプトを、FileMaker pro(当時はWebDB機能がついたばかりで、制限事項が少なかった)と、開発にクラリス HomePage Proを使う事で、比較的簡単に作る事ができた。それでもCDMLという独自の記述方式でしたが、HTMLに比較的安易に埋め込むことができました。

 この時は主題テーブルをおかず、
 文化財テーブル
 場所/施設テーブル
 人物テーブル
 団体テーブル
 イベントテーブル

などの、地域情報資源の種類毎にテーブルをつくり、それらを組み合わせの数だけリレーショナルを組むという、けっこうな力技で構築しました。

イベントカレンダーのシステムも自前でつくったり、地図を組み込むのにオープンなGISはないものか…と探してみたり…、そんな時期でした。

データベースと写真、動画、音声そしてQuickTimeVRのパノラマ(360度見渡せる)とオブジェクト(物体を回転させることができる)を使いながら、神社仏閣やフィールド、公園などのパノラマ画像と、土器などの文化財のVRを埋め込むなど、自分としてはかなりの出来だったかと思っています。

残念ながら、2004年3月までの契約(その4月から山中湖情報創造館勤務)があって、後任に引き渡したのですが、その後の町村合併に伴う庁内ネットワークの再構築などもあったりして、結局現在では、データベース機能を排除してかろうじて動画を見ることができる程度になってしまいました。

すたまオープンミュージアム改
このシステムを作っているなかで、当初の情報資源の種類別テーブルとその組み合わせの数 (n*(n-2))/2個のリレーショナルを組むという、力技的なシステム構築を続けていく中で、終盤の頃にはその改良型のアイデアが生まれていました。それが「多種類情報資源相互参照システム」です。

 1.多種類情報資源をコアテーブルと種類別テーブルに別けます。
 2.コアテーブルと種類別テーブルのリレーションを組みます。
 3.コアテーブルとコアテーブルとのリレーションを組みます。

 このシンプルな構造で、多種類の情報資源を相互に参照するシステムの構築ができるようになるのです。これによって、多種類の情報資源の関連づけが1つのリレーションの組み合わせによって構築できるため、こんどは[関連性の種類]に手を入れる事ができるようになります。すなわち、単に[関連性がある][リンクしている]というだけでなく、どのような関係性なのか。人物と人物は[親子]なのか[兄弟]なのか、[ライバル]なのか[師弟]なのか…等々。

ここまでの物事の記述を、データベースシステムで構築してみるてはじめて、情報資源と情報資源との関係性によって、いろいろなことが記述できることが判ってきました。反面、整合性についても気になる様になりました。例えば、今年の大河ドラマの「江(ごう)」を例にとれば、浅井長政の[娘:三女]であるだけでなく、時期によって嫁ぎ先が変わっています。それを整合性をもったデータベースシステムで構築するとなると…関係性に対して時間という要素を入れたりするなどそれはもう大変。

ところが、これらの情報資源と情報資源の関連性を、あっさりと表現できる手法がある!ということに気がついたのです。

それが、すなわち「物語化」という情報の組織化手法なのです。

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