図書館の現場で、ちょこっと質問をうける。
たとえば件名にあるような質問。
もちろん「ここですよ」とお伝えすることはできますが…お話を聞くと…今回は高校生のお嬢さんの課題で「同素体」についてのレポートを書かなくてはならないのだそうだ。お母さんが、広辞苑なら何でも出ているだろう….と機転をきかせて図書館員にたずねたわけだ。もちろん、広辞苑にも言葉の意味は書いてあるだろうが、それでレポートが書けるというものではない。そこまで伺ってはじめて、化学事典などめぼしい資料をご提供させていただいた。
ここで重要なことは、利用者さんが求めているのは「広辞苑の場所」ではなかったことである。今回ならば「同素体についてレポートを書くために必要な資料」を求めているのだ。本当の図書館員ならば、そこまでの支援が必要だと僕は考えている。ともするとこの様な事例の場合「利用者さんの質問には答えましたが、何か?」みたいな対応になってしまいがち。これでは課題解決すらできないし、図書館とはそういう場所(その程度の場所)…という印象を持たれてしまう。
というわけで、利用者さんの質問にそのままストレートに答えることはそれはそれで大切なんだけどそれだけではレファレンスサービスとして課題解決には至らないと思った方がいい。それよりも、ひょっとしたら最初の質問の答えにはなっていないかもしれないけれど、本当に解決したい課題に対して、図書館はきちんとお応えできるのですよ。という対応をする必要がある。
その人が、今本当に解決したい課題
それをインタビューなどのやりとりで聞きだすことが、実はすご~く大切なことなのだと思うのです。利用者さんの思い込みや思い違い、勘違いに振り回されることにもなり、結果として「読者の時間を節約する」ことができなくなってしまうのです。
平日は山中湖村の森の中にある図書館 山中湖情報創造館に、週末は清里高原の廃校になった小学校を活用したコワーキングスペースもある 八ヶ岳コモンズにいます。「わたしをかなえる居場所づくり」をイメージしながら、テレワークに加えて動画撮影やネット副業などにもチャレンジできる図書館/コワーキングスペースづくりに取り組んでいます。
コメント
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そうだね。仕事でも人間関係でも、なんでもそうだけど、ヒアリング能力というか、相手の身になって考えてみて、言語化してあげることなんだね〜。 Like
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これを「質問の仕方が悪い」みたいに言う人もいるんですけど、そもそも日本の教育の中で「正しい質問の仕方」って教えてくれないし、「なぜ?なに?どうして?」な少年少女は、かなり早い時期にその《質問する気持ち》叩き潰されます。僕もかなり小さいときに「あぁ、大人には質問しちゃいけないんだ」って思ってしまったこともあります。それがいつどうしてこういう大人になっちゃったのか未だに原因は特定できませんけどね。ただ「ちゃんと質問すれば、誰かが応えてくれるんだ」という安心感にも似た環境があれば、子どもたちはどんどん質問してくるし、質問しているうちに《本当に知りたいこと》にどんどん近づいていくんですね。
そういう体験の積み重ねこそ、本当は提供していかなくしゃいけないんだろうな。
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とても心の深くにとどくお話ですね。
>かなり早い時期にその《質問する気持ち》叩き潰されます。
ホントに悲しいことですよね。
>「ちゃんと質問すれば、誰かが応えてくれるんだ」という安心感にも似た環境
質問するのが怖いと不安を抱く子どもたちの心を開いていく上で、周りの大人はもっとこのことに感じないといけないですよね。とても大事なことだと思います。
こういう環境がどんどん子どもたちのまわりからも、大人たちの中からも失われているような気がしてなりません。図書館の人がこういうことに気がついてくれると
利用者は子供も大人もとても安心できます。
人間的な優しさや想像力もないとなかなか できないのではないかと思ったりします。司書の単位を取ったからできるということではないような気がします。
図書館の役割ってすごく大切でるよね。 Like
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>ひなこ さん
いつもありがとう。
日本人特有…とでもいうのでしょうか、お店の人や図書館の人に迷惑をかけまいと、自分でさがそうとして探して探して探し抜いたあとで、それでも見つからない時になってはじめて質問したりします。しかもその時点での質問ですら、単刀直入ではなく、結果として遠回りな質問だったりするのです。というよりもあらかじめ頭を巡らせて探す対象を「本」に落とし込んでからはじめて図書館員に質問したりします。
たぶん今までの図書館のあり方や図書館職員の対応の積み重ねが、利用者さんをそうさせてしまったのだと思いますね。
「図書館は静かに!」「飲食禁止!」みたいな張り紙をするくらいなら、『調べたいことがありましたら、ずばり訊ねてください』というポスターを貼ったほうが効果的かもしれませんね。
さっそく、作ってみたいと思います。
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>調べたいことがありましたら、ずばり訊ねてください
ズバリが大事なんですね。きっと利用者の皆さんも勇気が出ると思いますよ。
「聞いてもいいんだな それもズバリ言っても嫌がられないんだな」なんて言い聞かせながらカウンターに直行できますからありがたいです。
館長さん 知ってます?多くの自治体ではできるだけ役所に行きたくないから最低限 どうしても行かなくちゃいけない時しか行かないってこと。
平民がお上の窓口に行ってもぞんざいな扱い受けたり職員が無愛想だから行きたくなくなる心理が図書館にも広がっているとしたらえらいことです。
行政のサービス対応対策から考えないと図書館だけで解決できないかもしれないですね。でもせめて図書館だけは違うって思いたいところです。
いつも何かと考えさせていただきありがとうございます。 Like