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地域ごとに「図書館支援基金」を!

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未来をつくる図書館―ニューヨークからの報告―

菅谷 明子 / 岩波書店

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図書館はだれのものか―豊かなアメリカの図書館を訪ねて (中部大学ブックシリーズ)

松林 正己 / 中部大学

ひさびさのブログです。最近twitterやfacebookばかり…。

さて、すでに9年前に出版された菅谷明子氏の「未来をつくる図書館」。この本のインパクトがいまでもある。出版されて9年、取材等を考えれば10年以上前のニューヨーク公共図書館のあり様は、いまでも日本の図書館業界で働く方々や図書館を利用されている方々に、多くの衝撃を与え続けている。

なぜか?

それはこの9年もの間においても、日本の図書館がニューヨーク公共図書館の様々な図書館サービスを[普通の図書館のサービス]とは捉えず、業界のほとんどの方は「日本の図書館は日本の図書館、米国の図書館は米国の図書館です。よく「〜では」を使われる先生方が講演で引用されますが…。」という。簡単にいえば、この10年経ったいまでも日本の図書館は様変わりすることは、ほとんどなかったのだ。

さらに、それはなぜか?

一言で言えば、「図書館業界の危機感」に対する認識が、まだ十分ではない…からだ。直営ならば人件費も図書館の予算もほぼ100%が公費(税金支出)だ。減らされ続けていても図書館が自ら資金調達をする事例は、ほとんどない。また、公費支出の削減とサービスの向上をねらった指定管理者制度の導入はこの2003年の施行以来,増え続けているのだが…これもまた図書館という施設のなせるわざなのか、指定管理料のほぼ100%が公費支出である。さらに悪い事に、民間団体が指定管理者になっているにも関わらず、自主事業による収入を認めていない事例も見受けられる…まったくもって制度に対する誤解も甚だしいのだが、現状そのような協定で営利企業/非営利団体を問わず図書館における資金調達の未知を わざわざ塞いだ 制度導入がまかり通っている。

菅谷明子氏の「未来をつくる図書館」を読み、図書館を変えていこうとする取り組みをしようとしても、そうした図書館財政状況では、なかなか進展しない…というのも、無理からぬことなのだ。

そして実は、もう一冊の「図書館はだれのものか(正)」には、「未来をつくる図書館」をある意味で補完する内容になっている。なぜ米国の公共図書館は、そのような取り組みができるのか。なぜインターネット時代にふさわしい図書館サービスを提供することが可能なのか。「未来を〜」が利用者から見たサービスのあり方を伝えているのなら、「図書館はだれの〜」はその舞台裏と舞台裏を支えている仕組みを書いている。

中でも注目すべきなのは、それぞれの公共図書館には「図書館支援財団」があり、税金のよる運営費の不足を補うシステムがあったり、「図書館友の会」が図書館ブランドを商品化し販売し、そのブランド使用料(ライセンス料)を図書館に支払うというモデルで、財政面をバックアップしているというのだ。日本でも図書館友の会は、廃棄本を無料でゆずりうけ、バザーを行い、その売上げを図書館に寄附する…というモデルもあるにはあるのだが決して十分な金額ではない。

というわけで…
図書館ごとに…というわけにはいかないだろうが、せめて都道府県単位で、あるいは市町村単位での、市民による「図書館支援機構」づくりが必要なのではないだろうか。それは財団なのか社団なのか、あるいはNPOなのか…それとも基金なのか。そのスタイルはそれぞれの単位で決めればよいだろうが、公費だけでは縮小する一方の図書館を、市民が支えてゆくモデルを今のうちに作っておかないと、本当にダメになってしまうのは時間の問題だと思う。

スポーツチームのモデルを図書館に置き換えて考えてもいい。
コートでプレイする選手だけがチームではない。監督、マネージャー、そのバックヤードで広報や事務処理やファンサービスやそれこそ実に様々なスタッフがいて、はじめて一人の選手あるいは出場チームが試合で全力をだして戦うことができる。もちろんスタンドからのサポータの応援もある。サポータ以外の観客もいる。

図書館でプレイする職員だけではなく、そのバックヤードにどれだけの後ろ支えを持つ事ができるか。それがとても大切になり、公務員による直営では難しいモデルも、指定管理者なら可能ではないか。あるいは本当に、ニューヨーク公共図書館のように財団法人による「私立公共図書館」のモデルが実現するのではないか…と、かなり真剣に考えている。

当然ながら、こんなことをは現在の日本の図書館情報学(特に図書館経営論)では、まったく教えてはくれない。いつまでたっても公共図書館は100%税金で運営され、館長はその歳入(税金)からできるだけたくさんの予算を取れるかが腕のみせどころ…みたいな教育ばかりだ。そろそろ視点をかえて、NPOなどの非営利団体の経営モデルを公共図書館にも取り入れるべきだと思うし、少なくともNPOによる指定管理者図書館は、そのあたりのことをかなり強く意識して図書館経営に取り組んでいる。

というわけで、菅谷明子氏の「未来をつくる図書館」と松林正己氏の「図書館はだれのものか(正)」はぜひ、セットで読んでいただきたい。

※松林正己氏の「図書館はだれのものか(続)」では、働くスタッフの専門性について言及している。さらに興味を持った方は、続編も読んでみるとよいだろう。

コメント

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    やっぱり好きな人や恋人とは近くで生活していたい。 Like

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