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公共図書館におけるシビリアンコントロール的なもの

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「市民の図書館」とか「みんなの図書館」という言葉は、これまでの公共図書館のあり方の中で、実にたくさん語られてきた。また、知る権利を保障する場所であり民主主義のための基盤としての施設であり機関であることも、実に良く語られてきた。

しかしながら、公共図書館における最高意思決定機関が存在していない以上、制度上は現場の独走も可能である。いつかの航空幕僚長の論文ではないが、文民である政府が統制する「シビリアン・コントロール」的な存在が、公共図書館にあるのだろうか。

図書館法で規定されている「図書館協議会」は、条文を3つも掲げながら、実際にはなんら力を持たせる事の無い制度である。これをこのままにしていては、民主主義の基盤どころか、市民の図書館でもなければ、みんなの図書館であることすら制度上は保障できていない…そんなことに気がついてしまうと、これまでの図書館に関する議論がむなしく感じてしまうほどだ。

【図書館法より抜粋】
(図書館協議会)
第14条 公立図書館に図書館協議会を置くことができる。
2 図書館協議会は、図書館の運営に関し館長の諮問に応ずるとともに、図書館の行う図書館奉仕につき、館長に対して意見を述べる機関とする。
 第15条 図書館協議会の委員は、学校教育及び社会教育の関係者、家庭教育の向上に資する活動を行う者並びに学識経験のある者の中から、教育委員会が任命する。
第16条 図書館協議会の設置、その委員の定数、任期その他必要な事項については、当該図書館を設置する地方公共団体の条例で定めなければならない。

条文をみると、
 図書館協議会の設置は条例で定めるほど、公式な機関である。しかも学校教育や社会教育、家庭教育関係者や学識経験者などそうそうたるメンバーで構成されていなければならない…。にもかかわらず、ポジション的には、館長の下で館長に対して意見を申し述べることしかできないのだ。そしてたぶん今日的にはかなり形骸化しているという話を耳にする。

 僕は今後、図書館の管理運営に関する議論(直営、業務委託、指定管理者、PFI)をするなかで(いまだに民間委託是非論が出るのも…なんだかなぁ的ですが)、それ以上に地域のための公共図書館として最も肝心なこととして、図書館委員会(Library Board)の設置などを制度化し、最高意思決定機関を市民にゆだねることができなければ、直営だろうが指定管理者だろうが、本当の意味での公共図書館には成長していかないように思う。

 ぜひこの事に関して、いろいろな方のご意見を伺いたい…と、強く思っている。

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