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物語の力(「物語」ってほんとうにすごいですねぇ)

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地域における文化資源を情報化し、相互に関連づけながら参照できるシステムとして「多種類情報資源相互参照システム」を考案し、その改良型によってとてもシンプルなデータベース構造(アーキテクチャー)ができたのは良いのだが、この記述が実にめんどくさい。

例えばこんな具合

 人物:丸山高弘ー(指定管理者館長)ー施設:山中湖情報創造館
 人物:丸山高弘ー(副理事長)ー団体:NPO法人地域資料デジタル化研究会
 団体:NPO法人地域資料デジタル化研究会ー(指定管理者)ー施設:山中湖情報創造館
 団体:山中湖村教育委員会ー(設置者)ー施設:山中湖情報創造館

とこんなのが、果てしなく続く。
ところが…である。ふとあるときに気がついたのです。
上記の表現は、

 山中湖村教育委員会が設置する山中湖情報創造館は、NPO法人地域資料デジタル化研究会が指定管理者となり、同団体の副理事長である丸山高弘が、指定管理者館長をつとめている。

 というひとつの文章で表現できてしまうのだ。物語による記述方法によって、人物も団体も施設も,その他様々な情報資源を、相互の関係づけも記述しながら組織化できてしまう。しかも多少矛盾があろうが記述そのものは成立してしまうのだ。
 この事に気がついたとき、「物語」の持つ情報組織力のすごさに、あらためて気がつくことになったのです。

以下は、Wikipediaからの引用。今年の大河ドラマ「江(ごう)」である崇源院からの抜粋

崇源院(す(そ)うげんいん、天正元年(1573年) – 寛永3年9月15日(1626年11月3日))は、安土桃山時代から江戸時代初期の女性。位階は従一位。
浅井長政の三女。母は織田信秀の娘・市(織田信長の妹)。長姉の淀殿(茶々)は豊臣秀吉側室、次姉・常高院(初)は京極高次正室。猶女に鷹司孝子がいる。
最初の婚姻相手は佐治一成だが、秀吉によって離縁させられる。二度目の婚姻相手は豊臣秀勝で、娘の完子が生まれる。三度目は江戸幕府二代将軍徳川秀忠と文禄4年(1595年)再々嫁し、秀忠の正室(継室)となる。この時、江が徳川秀忠と再々婚したことで、娘の完子は伯母の淀殿に引き取られ養われる。
また、第109代明正天皇の外祖母でもある

この文章を、多種類情報資源層ご参照システムで記述すると、こうなる

 人物:崇源院ー(よみ)ーふりがな:す(そ)うげんいん
 人物:崇源院ー(生年月日)ー日付:天正元年(1573年)
 人物:崇源院ー(没年月日)ー日付: 寛永3年9月15日(1626年11月3日)
 人物:崇源院ー(位階)ー単語:従一位
 人物:崇源院ー(三女:父)ー人物:浅井長政
 人物:崇源院ー(三女:母)ー人物:市
 人物:市ー(娘:父)ー人物:織田信秀
 人物:市ー(妹:兄)ー人物:織田信長
 人物:崇源院ー(末妹:長姉)ー人物:淀殿(茶々)
 人物:淀殿(茶々)ー(側室)ー人物:豊臣秀吉
 人物:崇源院ー(末娘:次姉)ー人物:常高院(初)
 人物:常高院(初)ー(正室)ー人物:京極高次
 人物:京極高次ー(猶女)ー人物:鷹司孝子
 人物:崇源院ー(婚姻:一度目)ー人物:佐治一成
 出来事:離縁ー(によって)ー人物:豊臣秀吉
 人物:崇源院ー(婚姻:二度目)ー人物:豊臣秀勝
 人物:崇源院ー(子:娘)ー人物:完子
 人物:崇源院ー(婚姻(正室):三度目:文禄4年(1595年))ー人物:徳川秀忠
 人物:徳川秀忠ー(役職)ー単語:江戸幕府二代目将軍
 人物:完子ー(引き取られる:伯母)ー淀殿
 人物:崇源院ー(外祖母)ー人物:明正天王(第109代)

と、このくらいの記述が必要になる。それをWikipediaでは、あっさりと[物語]として記述できてしまうのだ。

ただ残念なことに、「物語」による情報の組織化には、不都合もある。

1)機械的に読み解くことが困難。
 たとえOCRで文章をテキスト化できたとしても、それが何を表しているのか、それぞれはどういう関係性を持つのかを、機械的に読取り判断することはまだ難しい。しかも、関係性に矛盾が生じる場合すらある。

2)時系列、場所等の飛躍は激しい
 物語の時系列はとても優柔不断。冒頭に時系列的には結末があり、次の章から時間をさかのぼって記述される場合もある。場面においても、とつぜんまったく離れた場所での物語が何の予告も無く割り込んで来たりする。

 などなど…
 「物語」によって組織化された情報は、人が読み解かなければ、それぞれの単位や関係性などを読み解くことは、今のデジタル技術ではまだ難しい。

とはいうものの、この「物語」の持つ情報組織化の融通性(フレキシビリティ)、多様性、柔軟性、可搬性、継承性、再現性等々において、まことに優れた機能を持っている…と、僕は考えるのです。

※そしてさらに、物語による情報の組織化と、この多種類情報資源相互参照システムは、思いも拠らないカタチで、最新のWeb技術に登場することになりそうなのです。正直なところ僕もびっくり!…キーワードは「セマンティック」

コメント

  1. After内藤 より:

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     物語化は一種の「情報圧縮技法」なのですね。 Like

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