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「司書」についてあらためて考える…。

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プロフェッショナル意識を持つ多くの図書館員は、自らを「司書」だと思っている。
しかし、そうそう簡単に「司書」になることはできないのだ。

まずは何をもって「司書」というか、ご存知の通りこれは図書館法に定義されている。

(司書及び司書補)
第4条 図書館に置かれる専門的職員を司書及び司書補と称する。
2 司書は、図書館の専門的事務に従事する。
3 司書補は、司書の職務を助ける。

すなわち、図書館に置かれる《専門的職員》でなければ「司書」とは呼べない。これは司書資格所有者であっても専門的職員として配属されなければ「司書」とは称することはできないのだ。

次に、問題なのはこの法律における「図書館」の定義である。

(定義)
第2条 この法律において「図書館」とは、図書、記録その他必要な資料を収集し、整理し、保有して、一般公衆の利用に供し、その教養、調査研究、レクリエーション等に資することを目的とする施設で、地方公共団体、日本赤十字社又は一般社団法人若しくは一般財団法人が設置するもの(学校に附属する図書館又は図書室を除く。)をいう。

これが「図書館」の定義である。

これをあわせると、こういう文章になる。

地方公共団体が設置する公立図書館もしくは、日本赤十字社、一般社団法人、一般財団法人が設置し学校に附属しない私立図書館に置かれる専門的職員なければ「司書」または「司書補」と称することはできない。

ということなのだ。なので、企業などが設置する図書館は、図書館法によれば「図書館」ではなく、図書館法の一番最後にある

(図書館同種施設)
第29条 図書館と同種の施設は、何人もこれを設置することができる。

「図書館」によく似ているが、図書館同種施設でしかないのである。なので図書館同種施設で働く専門的職員であっても「司書」または「司書補」と称することはできない。

これが実態。
実は日本図書館協会がはじめた、認定司書制度も、この法律に基づいているため、「司書」と称することのできる職域範囲は、極めて限定的なものなのだ。

こういうことを、大学の司書課程の最初に教えてくれないと…いささか困ったことになる…と、思うのは、僕だけだろうか。

だからね…
図書館(のような場所)で働く専門的でない職員は、一般に図書館員/図書館職員と称することはなんらもんだいはないし、司書資格所有者が「ライブラリアン」と名乗るぶんには、まったく問題がないんだよね。よくまぁ、こんな法律をそのままにしておくものだ…と、つねづね思っていたりする。

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